『元自衛隊員は自衛隊をどうみているか――自衛隊退職者に対する意識調査・報告書』刊行

2023年6月に自衛隊退職者を対象として実施した「安全保障・防衛問題に関する意識調査」報告書が、8月26日、青弓社より『元自衛隊員は自衛隊をどうみているか――自衛隊退職者に対する意識調査・報告書』として刊行されました。

上記リンク先の「試し読み」で、目次と「はじめに」をお読みいただくことができます。

前著『日本社会は自衛隊をどうみているか』と両輪をなす調査報告書であり、今後の軍事・安全保障問題に関する討議のための基礎データとして、ぜひ多くのかたにご参照いただければ幸いです。

2023年度の研究実績概要 (科研・基盤研究(B))

科研費「現代日本の戦争観・平和観とその歴史・文化的背景に関する社会学的研究」(基盤研究B、2022~24年度)第2年度(2023年度)は、下記のように研究を進めました。

  • 研究代表者・研究分担者・研究協力者が参加する計10回の定例研究会を、京都大学とオンラインのハイブリッド方式にて開催し、下記の自衛隊退職者調査の準備、および実施後のデータ分析と報告書の作成を進めました。
  • 2023年6月、(株)マクロミルに委託し、自衛隊退職者(同社のWeb調査モニター2060人)を対象とする「安全保障・防衛問題に関する意識調査」を実施しました。自衛隊退職者は、かつては軍事専門職として防衛の任に当たり、かつ現在は一般市民として地域社会の中で生活しているという両面性をもつため、その戦争観・平和観を分析することにより、現代日本の戦争観・平和観に関するより客観的な知見を得ることを目的としました。調査項目は、安保関連3文書、日本の安全保障環境、防衛政策、防衛体制、「日本有事」の可能性、および自衛隊の組織等についての考えを問う設問を中心としました。

「平和・安全保障問題に関する世論調査データベース」データ追加(6)

平和・安全保障問題に関する世論調査データベースに、ID:481~485の5件のデータを追加しました。

「平和平和・安全保障問題に関する世論調査データベース」データ追加(5)

平和・安全保障問題に関する世論調査データベースに、ID:468~480の13件のデータを追加しました。

2022年度の研究成果に関するメディア報道等

2022年度の研究成果に関するメディア報道および一般雑誌等の記事について、下記のとおり情報をまとめてお知らせします。なお、学術雑誌での研究成果公開については、「これまでの研究」のページをご覧ください。

今後も、このように積極的に研究成果について情報発信していきたいと考えています。

【新聞記事】

【一般雑誌等記事】

  • 吉田純「意識調査からみた日本人の自衛隊像 「関心派」と「無関心派」の間で深まる分断」、『中央公論』2022年11月号、 84-90頁、2022年

上記記事の英訳が、外務省の海外発信サイト Discuss Japan — Japan Foreign Policy Forum の下記記事として公開されました。

2022年度の研究実績概要 (科研・基盤研究(B))

新規に採択された科研費「現代日本の戦争観・平和観とその歴史・文化的背景に関する社会学的研究」(基盤研究B、2022~24年度)の研究計画に着手しました。この新規科研では、基盤研究(A)「現代日本における戦争観・平和観の実証的研究」(2018~22年度)の研究成果を更に継承発展させ、現代日本の戦争観・平和観およびその歴史・文化的背景の構造的布置状況を解明し、今後の日本の平和・安全保障問題をめぐる討議に貢献しうる新たな学術的知見を創出することを目標としています。

初年度(2022年度)は、下記のように研究を進めました。

  1. 研究代表者・研究分担者・研究協力者が参加する計10回の定例研究会を、京都大学とオンラインのハイブリッド方式にて開催し、そこでの文献レビューにより、現代日本の戦争観・平和観や安全保障環境・安全保障政策に関連する、社会学・政治学・歴史学等の領域における最新の関連研究の知見を集約しました。
  2. 当初・本科研申請時には、第2年度(2023年度)に実施する、戦争観・平和観に関する意識調査の対象者として日本で生活する外国人を予定していましたが、2022年2月に開始されたロシアのウクライナ侵攻をはじめとする安全保障環境の激変や、日本の安全保障政策の大きな転換(安保関連3文書の改定など)を考慮し、定例研究会での慎重な検討の結果、対象者を自衛隊退職者に変更することになりました。自衛隊退職者は、かつては軍事専門職として防衛の任に当たり、かつ現在は一般市民として地域社会の中で生活しているという両面性をもつため、その戦争観・平和観を分析することにより、軍事専門職と一般市民との意識の乖離を架橋し、現代日本の戦争観・平和観に関するより客観的な知見が得られると予想されました。
  3. 上記2を前提として、第2年度(2023年度)に実施する意識調査の質問項目の詳細な再検討をおこない、調査票の素案を設計しました。調査票設計にあたっては、対象者が上述のような両面性をもつ人びとであることを念頭に置きながら、その戦争観・平和観やミリタリー・カルチャーの構造的布置状況の全体像を探索的に解明することに主眼を置きました。調査項目としては、安保関連3文書、安全保障環境、防衛政策、防衛体制、「日本有事」の可能性、および自衛隊の組織等についての考えを問う設問を中心としました。

2022年度の研究実績概要 (科研・基盤研究(A))

科研・基盤研究(A)「現代日本における戦争観・平和観の実証的研究」第5年度(2022年度)は、下記のように研究を進めました。

  1.  研究代表者・研究分担者・研究協力者が参加する計10回の定例研究会を、京都大学とオンラインのハイブリッド方式にて開催し、「自衛隊に関する意識調査」(2021年1~2月に実施)調査結果の更なる分析(クロス集計・多変量解析・計量テキスト分析等)をおこないました。
  2. 上記「自衛隊に関する意識調査」調査結果の更なる分析を中心として、これまでの研究成果を集成し、平和・安全保障問題の討議と合意形成に寄与しうる学術的知見として整理・体系化しました。研究成果は、学会発表(戦争社会学研究会・関西社会学会・日本社会学会・日本社会病理学会)、学術誌への論文投稿、および一般雑誌への寄稿、メディア報道等により、研究成果の公開を進めました。
  3.  「平和・安全保障問題に関する世論調査データベース」に16件のデータを追加しました。
  4. 国立広島原爆死没者追悼平和祈念館および広島平和記念資料館にて、現地調査を実施しました。
  5. 上記の研究と並行して、新規に採択された科研費「現代日本の戦争観・平和観とその歴史・文化的背景に関する社会学的研究」(基盤研究B、2022~2024年度)の研究計画にも着手しました。新規科研では、本科研の研究成果を更に継承発展させ、現代日本の戦争観・平和観およびその歴史・文化的背景の構造的布置状況を解明し、今後の日本の平和・安全保障問題をめぐる討議に貢献しうる新たな学術的知見を創出することを目標としています。

なお、本来は第4年度(2021年度)が本科研の最終年度でしたが、新型コロナウイルスの更なる感染拡大の影響を受け、戦争博物館・平和資料館等の現地調査の実施が困難となったため、2022年度に繰越をおこないました。同年度末には上記のとおり、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館および広島平和記念資料館にて現地調査を実施することができ、予定していた研究計画はすべて完了しました。

「平和・安全保障問題に関する世論調査データベース」データ追加(4)

平和・安全保障問題に関する世論調査データベースに、ID:452~467の16件のデータを追加しました。

2021年度の研究実績概要 (科研・基盤研究(A))

科研・基盤研究(A)「現代日本における戦争観・平和観の実証的研究」第4年度(2021年度)は、下記のように研究を進めました。

  1. 計9回の定例研究会* を京都大学とオンラインのハイブリッド方式にて開催し、下記2の調査報告書の作成、および調査結果の更なる分析をおこないました。
    * 2021年4月17日、5月16日、7月4日、8月1日、9月5日、9月19日、11月3日、12月18日、2021年2月19日
  2. 2021年1月~2月に実施した「自衛隊に関する意識調査」の報告書、『日本社会は自衛隊をどうみているか――「自衛隊に関する意識調査」報告書』を、8月17日、青弓社より刊行しました。
  3. 平和・安全保障問題に関する世論調査データベースに、ID:433~451の19件のデータを追加しました。
  4. 新型コロナウイルスの影響により、予定していた福岡県での戦争博物館・平和資料館の現地調査の実施が困難となり、年度内に事業を完了することが困難となったため、科研費の一部を2022年度に繰り越すこととなりました。
  5. 新規の科研費「現代日本の戦争観・平和観とその歴史・文化的背景に関する社会学的研究」(基盤研究B、2022~2024年度)を申請、採択されました。

『日本社会は自衛隊をどうみているか』書評

公益財団法人・偕行社が刊行している『偕行』2022年2月号に、『日本社会は自衛隊をどうみているか―― 「自衛隊に関する意識調査」報告書』の書評が掲載されました。評者は徳田八郎衛氏(陸自61期)。

当研究会のこれまでの研究の経緯をよく踏まえたうえで書かれ、また陸自OBとしての視点も反映されており、興味深い書評になっています。